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大菩薩峠 中里介山 [本]

P1070921-2.jpg「燃えよ剣」で土方歳三について触れました、土方が修行した剣術流派は天然理心流です。
今回テーマにした大菩薩峠の主人公 机竜之介は甲源一刀流の使い手です。実は甲源一刀流と天然理心流はライバル関係でした。甲源一刀流の地盤は八王子です、江戸から天然理心流道場主 近藤勇が出稽古に赴いていたのが日野界隈です。当然縄張り争いが発生していたということでのライバル関係だったようです。近藤も武州多摩生まれで近藤家に養子に入って道場主となります、本人は生まれ故郷近郷に剣を教えに行くわけですから当然引くわけには行きません。当時武士に剣術を教えるのではなく農民・町民がお客ですから門弟が多い方が勢力が強くなります。小競り合いはしょっちゅうあったらしいと小説や映画で描かれています。
この甲源一刀流の道場主の息子が机竜之介です、介山先生のこの主人公の書き方が凄いです。
この小説は日本の大河小説と言っても過言ではありません。登場人物の多さや登場人物同士の関係が複雑で微妙に絡まって大団円に向かっていきます。ちくま文庫で全20巻、青空文庫でも読めます、何と書かれたのは1913~1941年新聞連載でこの当時全41巻の大作で未完です。
自粛にはうってつけの本ですね、そして未完であることがそそります。
ではこの主人公机竜之介のどこが凄いのか、何と剣の腕は抜群で美男子という設定ですが稀代の殺人鬼なのです。最初の巻頭で大菩薩峠の茶屋場面から始まりますが、この茶屋付近で峠を歩いてきたお爺さんと孫娘の二人連れを襲います。お爺さんは斬殺、孫娘は辛くも難を逃れて逃げ延びます、襲った理由はありません人を斬りたかったからです ここからスタートです。この部分の描写は結構衝撃的でした。
P1070932-2.jpgさて この大菩薩峠に行ってきました、峠には茶屋がありここを介山荘と今は言います。まあ舞台はここかと辺りを見渡して思いに耽りました。上日川峠に車を置いて登山道を登りますが約2時間の行程でそのまま付近を巡ると日帰りに丁度いいコースです。帰りに天目山温泉に浸かって帰りましたが峠から見える富士山は素晴らしいようです、この時は雲にかかり見えませんでした。
机竜之介は中盤に奈良十津川で眼を負傷します、ここから眼が見えなくなり盲目の剣士になります その後眼の治療で長野の白骨温泉に湯治にいきます。奈良の十津川にも行きました、川沿いに広がる集落と曲がりくねった道が印象的です。白骨温泉は飛騨からの帰り路に通りましたが白濁の湯が自慢です、ここは宿題として残っています。
DSC_2341-2.jpgそんなこんなで机竜之介の足跡を辿るだけでも面白い旅行が出来ます。
大菩薩峠 机竜之介の虚無、かなり不可解です。先日石原慎太郎先生が死を論じていましたが先生いわく死とは「虚無」と言い切っていました。

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