またまた時代劇を堪能 [映画]
映画「黒書院の六兵衛」原作 浅田次郎
有料テレビでみた
厳密に言うと映画ではなく「連続ドラマ」だそうだ 主演は吉川晃司・上地雄輔 主演たる吉川晃司は終始セリフなし 表情だけの演技である この役者というか歌手というか、この人は一体にどちらが本業かわからない しかし時代劇役者を演らせたら右にでるものは無いと勝手に思い込んでいる
この作品は小説を良く踏襲している 数年前に小説を読ませていただいた、しかし小説の表現ではリアルに情景を想像できなかった、よって小説自体はそれ程感銘を受けなかった作品だ
ただ、江戸城内の今は失われた仕来りや慣習が印象的だったので妙に記憶に残った作品だった
「勝・西郷会談」で江戸城明渡しが決定 城明渡しに際しての城内混乱と最後の武士達の生き方を一人の武士を通して見つめるという内容 そして主人公「的矢六兵衛」の無言の抵抗なのか 「武士の魂」の具現化か なにしろ無言を貫くその行動は視聴者にも判然としない
1話から6話まで続く物語は時代転換の一瞬を切り取ったものだ
主題となっているのは 思うに「武士の覚悟・武士の魂」 亡びゆく武士の最後の意地が感じ取れる映画だった
この作品で注目したのは主人公の行動よりもその仕草だ 一に食事を摂る時の作法は秀逸だ
この食事作法が何流かは知らないが実に美しい
端然として行儀よく箸の上げ下ろしまで美しい
食べ方は人間の本能に帰着するので様々な食べ方があると思う、どれもが正しいが美しい食べ方は少ない
二に城内での歩き方 貴人に拝謁する時は「膝行」というらしいが凛として美しい歩き方だ
「ムーンウオーク」を膝でやるような歩き方
見惚れてしまう
キツイのだ
この「居合腰」1kgの木刀を使用する(真剣が1kgなので)この極太木刀を使って「居合腰」2000本の素振りをやった 1週間で居合を断念
それ程つらい修行だった この膝行を会得するには同じくらい鍛錬が必要だろう
全話鑑賞は6時間程かかるが実に興味深い作品だった
江戸城内の奇態な風習 大奥が一日で崩壊する様 職を失い絶滅に向かう幕府武士
薩摩長州軍人の成り上がり行為と行儀の悪さ
「ラストエンペラー」の中国清朝が崩壊する時と何故か重なる
時代が変わる一瞬の表情がいい