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時代劇を見て [雑感]

最近、2作の時代劇をテレビで見ました。「上意討ち」(池波正太郎作品)と「花のあと」(藤澤周平作品)の2作です。どちらも秀逸な作品でした。共に「武士の生き様が何と重苦しいものか」ということが現代のサラリーマン社会に相通じるような作品です。

あらすじ

DSC_5814 (2).jpg[上意討ち=鯵岡藩士の十兵衛(永山絢斗)と源四郎(尾上松也)は、剣を通じて認め合う。ある日、源四郎の許嫁・千里(北原里英)が藩主の堀兵庫頭忠行(宇梶剛士)に見初められるが、彼への思いから自害。恨みを募らせた源四郎は忠行を殴り出奔。十兵衛は源四郎の上意討ちを命じられる。]ここから上意を命じられて数年源四郎を追い回す十兵衛はついに武士を棄て、そして源四郎は殿様に昔年の恨みを晴らし、最後に死を撰び許嫁の元に旅立つという切ない結末です。[花のあと=ある女性の回顧録のような語りから始まる初恋の相手の話しですが、やはり切ない物語となっています。お馴染みの海坂藩が舞台の女流剣士が藩要人の罠に嵌って切腹した恋人の恨みを晴らす内容です。

見応えのある作品でした。藤澤周平作品は静かに物語の進む独特な雰囲気がいいですね。上意討ちの方は主人公が武士を棄て、農民となり静かに暮らす運命にホット胸を撫でおろします。


P1060797-2.jpgさて、どちらも斬り合いがメインとなりますが、そもそも刀で人を斬るとはどのようにするのか甚だ疑問に思います。ある居合の先生に聞きましたが、(この先生は真剣を数本保持している先生です)簡単に人は斬れると言います。人間の体は骨も含めて水分の塊りだから難なく一刀両断できると話してました。では、斬り方ですが剣道では「押切り」、刀は「引き切り」と言います。剣道は竹刀を刀と見立てて闘う格闘技です。竹刀で相手を打つ打ち方はほとんどの人が上から下に落として打つ打ち方です、押切りとは言い難い打ち方です。高校生や中学生は「刺し面」と言ってスピード重視の腕を前に伸ばして打つ軽い打ち方が多く、この打ち方では軽くカスッタ程度の打撃力で今は全否定されているようです。上級者は大きく重い打ち方でないと評価されないようでして、俗に人はそれでは斬れないと言う言い方で揶揄されます。押切りはそれよりも高度な打ち方らしく結構な上級者でないと会得していないようです。

刀の「引き切り」とは、刀は湾曲していて反りがあります。別な居合の先生から聞いたところ「この反りによって上段に振り被って振り下ろした時必ず手元は中段臍前に戻ります、この時意識しなくとも刀は引き切りで手元に戻る」と話していました。この臍前に手元が戻る人は少なくとも居合の先生でして、普通の人は前に手が出てしまいます、恐らく二た拳は前に出ます、刀は1Kgありますから支えきれずに自分の足を切るかもしれません。簡単に刀は扱えませんね。


余談・・・居合の昇段審査会で、刀を鞘に納める「納刀」で徐々に刀を鞘に納めていく段で大きな血溜まりが出来たという話を聞きました、これは審査会だったので演技者が親指と人差し指の又が納刀で切れたのですが、我慢して納刀した時には失神して救急車が呼ばれたという顛末です。


血は見たくないぞー!

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コロナで読書 世界の名作文学 [本]

DSC_9372.jpgコロナが連日、記録を更新しています。こんな時は我々年配者は家で読書 これしかないですね。新しく本を買ってもいいのですがここは家にある蔵書を読破すべきと新規購入は控えています。先日新聞にこんな記事がありました、ある病室で1人の患者さんが「カラマーゾフの兄弟」を読破したそうですが、何と数ヶ月の内にその病室の患者さん全員がこの小説を読破したそうです。これは凄いことです、この小説の挫折率は相当高いと言われてまして、2巻目に入る頃にはほとんどの人が挫折するそうです。この小説には縁がありませんでしたが、この記事で読みたい衝動が起こりました。


DSC_9384.jpg今回挑戦しているのはバルザック「ウジェニーグランデ」です。この小説はだいぶ前にブックオフで買った「谷間の百合」に収められている一編です。因みに100円で買いました、正式には「河出書房 世界文学全集巻4 谷間の百合」です。この本が100円とは嬉しい限りでした。作家バルザック(1799年5月20日 - 1850年8月18日)は、19世紀フランスを代表する小説家です。バルザックの作品は100篇を数えると言われ、日本では河出書房から全集が刊行されていますが全作品を読むことは出来ないようです。「谷間の百合」についてはネット上に紹介されていますので割愛しますが、「谷間の百合」はストーリーよりもその文章表現に感動し、まるで詩集をよんでるような錯覚に陥ります。美しい物語だと思います。


さて、「ウジェニーグランデ」はグランデ家夫妻とその一人娘ウジェニーの物語です。グランデ父さんは吝嗇で欲深な農園主であり投資家、母親はウジェニーの成長だけに心血を注ぐ病弱な女性、ウジェニーはそんな両親に育てられたお嬢様という設定です。莫大な財産を残して両親が病没し可憐なるウジェニーは孤独になります、秘かに愛する従弟シャルルの帰りを7年間純愛を持って待ち続けます。シャルルは父親の破産によって無一文となりグランデ夫妻に預けられますがグランデ父さんは追い出します。シャルルはウジェニーから借りた金貨を元手に貿易商となり、インドやアフリカで奴隷売買をして莫大な財産を形成します。ウジェニーの元を立って7年目、パリ社交界に戻るべく借金まみれの侯爵家令嬢と結婚することで爵位を獲得して社交界デビューを目指します。DSC_9397.jpg

このストーリーは「人間喜劇」と呼ばれるバルザックのメインテーマに沿って進みます。この人間関係やシチュエーションはバルザックの数々の作品に再登場してくるというバルザックワールドが展開されます。守銭奴グランデ父さんの生き様と人間関係は当時のフランス社会をき生きと描写しています。

古い小説ですが19世紀フランス文学を堪能する良き一篇でした。


「赤と黒」スタンダール 1830年、「ウジェニー・グランデ」バルザック 1833年、「ボヴァリー夫人」フローベール 1857年、この3作を持って19世紀フランス文学の代表作としています。


因みにドストエフスキーはこの作品の訳者でした。


暇つぶしにはうってつけです。

本を読むことは眠気との闘いだー!

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