最近古典に興味が湧いた [本]
衝撃的な事件が相次いでいます。元総理の殺害事件や東電株主訴訟での13兆円の賠償判決。何か普通の頭では理解できないリアルな世界が広がってきました。そんな中現実逃避のように古典にハマり始めました。古典とは「万葉集」です。
万葉集の片手読みは文庫では時間潰しに最適です、ストーリーが無いので切りのいい所を探す必要が無いのです。そして何しろ言葉の美しさに魅せられています、枕詞に続く定型句は美しさの極致です。万葉集の本体そのものの鑑賞はこのような読み方が正解ですが、今回は万葉集注釈全12巻にチャレンジしてみました。この12巻本が何故家にあるのか不思議ですが・・・
1巻から3巻は万葉集の構成と文法と言葉の分析から始まります。1巻の読破は到底無理と飛ばし読みで読了しました。2巻はほとんど記憶にありません。しかし3巻目で実に興味深いことに直面しました。此の巻では主に言葉の分析が中心です、いくつかの言葉の分析は失われた日本語のミステリアスな部分を含んでいるのです。今は使われていない表現ですが感覚的には日本人には解る表現です。その一つに「つま」という言葉があります。「つま」の現代用例は「つま楊枝」とか「妻」「夫」とかです。古代の日本人も同じように使っていますので連綿と伝えられてきた用法です。しかし「つま」は万葉集では「都麻」「妻」等が当てられています。この意味は何でしょうか?見事に解説されているのです。まず地名である事、ここから転用されて「妻」「夫」が現れ、衣服の「褄」になり、「爪」も語源を一つにするものです。地名の「つま」はどこでしょうか?すぐに「つま」の付く地名を探してしまいます。
しかしもっと凄いのはあの「魏志倭人伝」に邪馬台国のルートで決定的な分岐点となる国、「投馬国」が記されています。これは今「ツマコク」と読んでいます、勿論「トウマコク」とも読めます。この国の所在が邪馬台国の場所決定のキーポイントとなっています。これを「ツマコク」と読むなら、この音表現は万葉集時代にも残っていたことになり、ツマの音表現は古くから存在していて、「魏志倭人伝」の表記は正確であることが確認されます。ならば難解な「不彌国」や「弥奴国」等も実在の国だろうと勝手に推測してます。
さてこの「ツマ」のつく地名ですが「アヅマ」「アサツマ」「カミツマ」「シモツマ」「サツマ」等全国にあるようで、語尾マの音は山・濵・島・隈等があり、ツマもその類とのこと。何かもう少し日本語の海に埋没したくなりました。ちなみに「吾妻」は三浦半島と房総半島にあり、共に日本武尊の伝説が伝わる神社となっています。
また、上妻・下妻は福岡県の地名、朝妻は奈良県の地名とかなり古い地名です。
古い地名を辿って万葉散歩も悪くないですね。
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