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中里介山 大菩薩峠 明滅するユートピア [本]

先日無事ワクチン1回目接種を終えました。これで幾分リスクが低下したと勝手に思い込んでいます。

P1170849.jpgさて、この展覧会が見たくて40年ぶりぐらいに日本近代文学館に行ってきました。もっと大きな展示室で常設展とかあるのかと想像していましたが、通常で言う小展示室という感でした。併設で川端康成展というか「伊豆の踊り子」特集のようなものが展示されていました。


大菩薩峠展の方ですが作品を理解する上では分かりやすい展示となっていて面白かったです。印象的だったのは主人公「机 竜之介」の人物像はその後の時代劇主人公にかなり影響を及ぼしたことです。先日来の追悼特集になっている田村正和さんの当たり役「眠り狂四郎」はまさに机竜之介そのもののように感じてしまいます。

武州裏街道とは青梅街道の別名のようです(表街道は甲州街道)この作品の舞台に青梅街道が取り上げられています、中里介山の生まれが今の羽村市だったことに由来しているのも意外でした。介山先生が描いたこの作品は途中から主人公が多数現れて、登場人物の人生を追っていく展開となります。これがこの作品理解を難しくしていますが、何十年もかけて書き続けている訳ですから何となくその心境変化が理解できます。もう一つ興味深かったのは介山先生が著作権や映画になった時の演出にものすごいこだわりがあったことです。この先生は自分の思い通りにならないと喧嘩して差し止めてしまいます。それだけこの作品に対する思い入れや大切さが深かったのでしょう、思いがよく伝わってきます。この作品は当時の最高エンターテイメントだったということもわかりました。

映画、演劇と繰り返し上演され、なんと机竜之介の秘剣「音無しの構え」は高野佐三郎や中山博道によってオーソライズされたようです。高野佐三郎や中山博道は剣聖とされ、現代剣道を確立した偉人と言われています。「音無しの構え」は音を立てずに相手を打ち取る中西派一刀流の究極の剣技です、現代剣道でもこの技は至高の技とされています。誰でも出来る技ですが思うように使うことが出来ない至難の技 要は狙って出来る技ではなく正に「無」の境地の時現れる 「天から降りてくる技」だと思います。P1170856.jpg

或る日、警視庁剣道OBの大先生から面白いことを教わったことがあります、「昇段の試験では一切打つな、今日は1本も打たないぞと心に決めて試験を受けろ」 これは奥深い言葉です 1本も打たなければ試験になりません。1分間しかない制限時間の中でどういう心で臨むのでしょうか この逆説的な心境にこそ奥義があるようです。きっと「音無しの構え」とはこのような心境の中でしか出ない技なのかもしれません。


もう1回ワクチンが待っていると思うと複雑な心境 何故なら2回目の方がキツイから!

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